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仕組債って利率が高いですよね?

今回は仕組債の話をします。

ちょっと難しいので、架空の商品を設定して、ひとつずつ説明します。

昔販売していた商品と似た条件で設定しますね。

 

★以下、架空の商品です★

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【仕組債:日経225株連動型・ノックイン条項付き】

ターゲット:日経225株(架空の銘柄です)

基準株価決定日:2017年9月28日

運用期間:2017年10月1日~2019年9月30日

償還日:2019年10月1日

条件決定日:3月28日、9月28日。休日の場合は翌営業日。

支払い利率(年率):条件決定日の終値が基準株価と同じか上回った場合は10%、下回った場合は0.5%。

利払い:年2回。4月1日、10月1日。休日の場合は翌営業日。

投資単位:200万円

ノックイン条件:運用期間中に終値が一度でも決定日の株価の80%を割り込んだ場合

*運用期間中にノックイン有り、かつ、最後の条件決定日2019年9月28日の終値が基準の株価を割り込んだ場合には、日経225株で償還されます。なお、償還時の時価ではなく最初に決定した基準株価で計算されます。

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とりあえず、仮定の条件を書いただけでこのボリュームです。笑

では、ひとつずつ説明していきましょう。

 

まず、この債券にはデリバティブが組み込まれており、ターゲットとなる日経225株(架空の銘柄です)の時価によって、利率が変わります。

 

まず、最初の「基準株価決定日」である「2017年9月28日」の終値が基準となります。

仮に「20000円」としましょう。投資額は200万円にしましょう。

運用は2017年10月1日から始まります。

 

最初の利払い日は2018年4月1日。

条件決定日の3月28日の終値が20025円だった場合。

基準株価を上回っていますので、年率10%で半年分、約10万円(税引後約8万円)が支払われます(実際には1年のちょうど半分ではなく日割りになると思います)。

 

次回の利払い日は2018年10月1日。

条件決定日の9月28日の終値が20000円だった場合。

基準株価と同じですので、同様に年率10%の半年分が支払われます。

 

では、その次の2019年4月1日。

条件決定日の3月28日の終値が19999円になりました。

基準株価を下回りましたので、年率0.5%の半年分、約5000円(税引後約4000円)です。

 

最後、2019年10月1日に償還されます。

普通の債券だと、額面+最後の利払いですね。

しかし、この仕組債には「ノックイン条項」がありますので、額面が償還されるとは限りません。

 

復習します。

ノックイン条件:運用期間中に終値が一度でも決定日の株価の80%を割り込んだ場合。

つまり、2017年10月1日~2019年9月30日までの終値が、16000円未満になったことがある場合が「ノックイン有り」です。

期間中であれば、条件決定日などの日付は関係ありません。

 

1.ノックインがない場合。

最後の条件決定日で決まった利率(年率10%または0.5%)の利払い+額面200万円が10月1日に償還されます。

 

2.ノックインありの場合。

a.最後の条件決定日:2019年9月18日の終値が20000円以上の場合には、年率10%の利払い+額面200万円が10月1日に償還されます。

b.最後の条件決定日:2019年9月18日の終値が20000円未満の場合には、利払いは年率0.5%。しかし、額面200万円は償還されません。

その代わりに、日経225株を受け取ります。条件決定時の株価20000円で計算した200株となります。

 

最初の条件だとこの部分です。

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*運用期間中にノックイン有り、かつ、最後の条件決定日2019年9月28日の終値が基準の株価を割り込んだ場合には、日経225株で償還されます。なお、償還時の時価ではなく最初に決定した基準株価で計算されます。

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どういうことかわかりますでしょうか?

額面が償還されるぶんにはまだ良いのですが、株で償還される場合には、時価よりも高く株を買わされているのです。

 

これをオプションに戻して考えると「プットオプションの売り」です。

 

今回の場合は「20000円で売る権利」を売る。

相手方は、株価が基準よりも安ければこのオプションを行使して、株を我々に高く売ることができるので、利益を得ます。

もしも株価が暴落していれば・・・まぁ、ぼろ儲けですねw

我々は「売る権利を売る」対価として、利払い(手数料)を受け取るのです。相手が権利を行使したら、買い取らなくてはいけません。

 

 

まず、かなりハイリスクな商品であることはご理解いただけましたでしょうか?

時価よりもかなり高く買わなければならない可能性。そして、株価が上昇したとしても一定の手数料しか受け取ることができない利益の限定性。

さて、この「リスク」と「受け取る金額」は見合っていますでしょうか?

 

一般に、ボラティリティが高い方が不確実性が高まり、利率が良くなりますので、相場が荒れているときほど商品としての見栄えは良くなりますね。

しかし・・・「株価が上がる」と思う場合にこそ良くて、「株価が下がる」局面では不利。

だったら、株を買った方が良くないでしょうか。

 

実はもうひとつ問題点があります。

このような数百万程度で小口で売り出すタイプの仕組債は、流動性が無いに等しいです。運用期間が終わるまでは、ほぼ解約・中途換金できません。

ひとつのオプション商品を小口に分割して販売しているので、「その商品丸ごと」でないと、解約できないのです。

つまり・・・1億円で組成して50人が購入している場合。基本的に、50人全員が解約しない限りは換金できません。

 

ただ、ちょっと面白い点もあります。5000万円~の大口ですと、オリジナルでオプションが組める場合があるのです。

(なかなか良い条件で対応してくれるところを探すのが大変かとは思いますが)

以前ちらっと話しましたが、オプションは上手く利用すればリスクヘッジに使えるものです。

ただ、現状としては、窓口で一般募集されている商品は、顧客にとって不利な条件が多く存在しています。もちろん、それが全てとは言いませんが。

仕組債というものはなかなか理解するのが難しいと思いますので、安易に表面の利回りだけで投資しないように、しっかり判断できるようにしましょう。

 

 

★今回の説明はあくまで架空の商品です★