経済用語としての「モラルハザード」
「モラルハザード」という言葉の使い方が変!と思うことが頻繁にあります…
新聞などで「倫理の欠如」と括弧書きしていることにも違和感。
「モラル」「ハザード」という、中途半端にわかりやすい言葉だからでしょうね。
元々は、保険業界で生まれた言葉です。
なかなかわかりにくいと思いますので、単純化した例でお話しますね。
仮に、自動車保険としましょう。
保証も事故時の対応も、とても手厚い任意保険に加入したとします。
すると、人間の心理として「仮に事故にあっても安心だ!!」という気の緩みが生まれ…
その結果、加入者の事故の確率が未加入の人よりも高くなる。
咄嗟に考えたのでちょっと無理がある例かもしれませんが、簡単に言うとこんな話です。
保険屋さんにとってのリスクの話で、これをいかに防ぐか?ということです。
「モラルハザード」という言葉は、「逆選択」とセットで説明されますが、後者はあまり知られていませんね。
「逆選択」を同じ例で説明しましょう。
事故につながりやすい「無謀な運転を好む人」が世の中には存在しますよね。
そのような人ほど予め事故を想定して、手厚い保険を選ぶ。
その結果…やはり、その保険の加入者は事故の確率が高くなる。
いかがでしたでしょうか(*^^*)
倫理云々というよりは、人間の行動心理。
確かに倫理の欠如ではあるかもしれませんが、本質はそこではなく、人の合理的選択の結果不均衡が生じるのをどう解決していくか、を考えるための概念ですね。
経済学って、人間の合理性や非合理性、行動心理なども考えて、ミクロ〜マクロレベルの不均衡を解消していこう、最適化していこうという、面白い学問です。最適分配、などと呼びますね。
なかなか直接的には役に立たなそうですが、考え方を知ると思考が深まりますよ。